大人になるころには不安を抱えた自分、それが本当の自分なんだと思えるようになっていました。
人に自分がビクビクしていることを知られないように、また不安にならないよう行動に気を配りながら生きていました。

社会に出て一番困ったことは、職場で電話に出ることでした。
電話に出て言葉を話そうとすると、初めての音が発音できないのです。
家で何度も電話でしゃべる練習をしました。家ではきちんと発音できるのです。
でも実際電話が鳴って受話器を取って話そうとすると、第一音が出ないのです。
焦ってどうにかしようと必死になるのですが、よけいに言葉が出なくなるのです。これがとてもみじめでした。
周りの人たちに、どもった様子を真似されて笑われるようになりました。
とても恥ずかしかったのですが、笑ってそれをごまかしていました。
それから電話が鳴ると心臓がバクバクするようになったり、手がかすかに震えるようになりました。
その怖さを感じないように平静を装い仕事をしていました。
それでも心の優しい友人に恵まれ平和な日々を送れるようになっていました。
その後、結婚、出産、子育てを経験しました。
主婦生活は私を人前に出るプレッシャーから解放してくれました。
また、子育てをして子供がこんな風に感情を思いっきり出すということを知り驚きました。私はどれだけ自分の感情を抑えてきたのでしょう?
そう思うと心の中に閉じ込めた小さな自分がかわいそうになりました。
泣きたいのに泣かなかった私。怒りたいのにがまんしていた私。
子供時代に思いっきり自分の感情を出せた子供は、どんな感情が自分の中にあっても良いと健全に育っていきます。
医学博士の斎藤学先生の「インナーマザー」(大和書房)の中で、
「腹を立てたときには怒ったり、怖いときには泣いたり、不安なときにはその気持ちを言葉に出して訴えたり、見たり感じたりしたことを話し、受け止めてもらいながら、子供の心は健康に成長していきます。」と書かれています。
この当たり前のようなことが、私のしてこなかった事だとわかりました。
(つづく)

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